生きてるだけで、ワーイ

鳴門煉煉(naruto_nerineri)の日記

得体の知れない悲しさがある

 

 パン屋休み。雨。いつ賞味期限が切れたんだかわからない頂き物の豆でコーヒー淹れて飲む。古くなってるはずだが湯を注ぐと粉が膨らんだ。安物の新しい豆よりよっぽどおいしい。

 ビニール傘さして出る。祖父が遺したつっかけ。今週はごみ集積所の当番。水たまりを避けて雪を踏む。素足が濡れる。傘を閉じ、鉄製の小さな家みたいなごみ集積所の中に入る。ペットボトルを捨てる布袋、缶を捨てる布かご、瓶を捨てるプラスチックかごをそれぞれ決められた場所に片付ける。スプレー缶1本だけ回収されずに置き去りになっていた。家に戻りシャワー浴びる。

 支度して出る。国道まで歩くと雨は強くなった。長島地下道を抜けると、法務局かなんかの建物の前に立つ警備員に声をかけられたような気がしたが雨の音か。柳町交差点を北へ折れ本町へ。昨年開店した高級食パン店の前を通る。このような食パンは手土産やご褒美など非日常を彩るものであり、自分の勤めているパン屋はこれと果たすべき役割が違う。暮らしている町においしいパン屋はいくつあってもいい。しかしどうしたって店の名前は気に入らないが。

 約束の時刻の10分前に着く。あんまり早いのもどうかと思い近くをうろうろ、自然な5分前行動を演出する。14時からアパートの内覧。学生時代にパン屋でバイトしてた話。インテリアアドバイザーというしゃらくせえ資格を持つ姉からいちいち寸法を測るように言われていたのだが他人の家に緊張してかばんからメジャーを取り出すことすらできず。ラーメン屋の2階。事務所に戻って審査やら何やらの紙書く。とてもおいしいお茶を出してくれたが飲むタイミングがわからなくて残した。なんかものすごくつかれた。

 終え、憩いを求めてらせん堂へ。三浦さんに昨日の弟の動画を見せて自慢する。あんまりきびきびしてるので「警察学校みたい」と。卒業祝いにミッフィーちゃんのサブレいただいてものすごくうれしい。白樺アレルギー。岸田劉生の日記買う。

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 あんな見積書を見た後で金を使う気には到底なれないが、体が勝手にさくら野百貨店でやってる北海道物産展へ吸い込まれていく。家に電話すると弟が出た。母に代わるよう言うと「今ハンバーグつねってる」と。つねる工程なんてあったか。マルセイバターサンドの冷蔵ケースの中を覗くとからっぽ。母に頼まれたチーズケーキは買えたからよかった。会場を見て回ってると自分に話しかけてんのか全体に呼びかけてんのかわからない絶妙な声を出してるおばさん。その人が近寄ってくる。明太子、塩辛など。松前漬けの値札に100グラム864円とあり。レジへ持ってくと「これ200グラム入りなんで1,728円です」と言われて悲しすぎる。2018年に函館へ行ったときのことが思い出される。(『ズーちゃんの魂は死なないひとり旅 in 函館』前編後編を再掲したので詳しくはそちらを参照されたし。)

 佐藤伸治は「なんでこんなに悲しいんだろう」、清水民尋は「悲しくてやりきれない」、鳴門煉煉は「松前漬けによらない、得体の知れない悲しさがある」と歌った。解体される青森駅。人に会いたくなる。

 帰宅。弟に三浦さんからのお祝いわたす。とてもよろこんでいた。夕方のニュースで高校の頃の友人が特集されていたので見る。カーリングの氷を作るアイスメーカーという仕事と劇作家との両立。連帯保証人になってもらうため父にも書類を書いてもらう。15年くらい前の父の免許証。昔はかっこよかったのだが。実印をメモ用紙に何度も押して練習。なんか実印の威厳みたいなのが薄れた。

 夜飯はハンバーグではなかった。