生きてるだけで、ワーイ

鳴門煉煉(naruto_nerineri)の日記

生きてるだけで、ワーイ

 

 くもり。6時40分頃起床。洗濯機回してシャワー浴びる。パンとボトルの缶コーヒー。叔母の話に付き合うのはやや疲れる。スッキリの占いでは4月うまれが1位。

 11時前歩いて出る。国道。介護の車から降りてきた人に道を譲る自転車の人。いい人だなーと思っていたらよくパン屋に来るお客さんだった。県庁のある大きな交差点渡って八甲通りへ。汗で濡れた背中を海から吹く風で乾かしたいが後ろ向きで歩くわけにもいかず。それでも国道より一本海手へ入っただけでだいぶ涼しく感じられる。

 古書らせん堂。あまり時間ないので外の棚から『書く力をつけよう / 工藤信彦』岩波ジュニア新書ぱっと手に取って中へ。三浦さん。うれしい。自分がいつもレジの下に隠れてパンを食ってる話。上海の本屋はレジの下にしゃがんでうどん食ってるよ、と言われた。自分で自分を指さし「上海」と言う。八戸で行われる予定のイベントはこの調子だと中止になるだろうとのこと。いよいよ青森県新型コロナウイルスの感染者数が増えてきた。気を付けていってきまーす、と手を振って店を出る。

 12時ちょうど青い森鉄道八戸行。ホームの自販機で「おいしい水」という水買う。おいしい。リュックに入れてきた飯島耕一詩集読む。アウシュヴィッツの遺品を見て書かれた『匙』という詩。木々のざわめき。

 13時11分三沢着。東口に停まっている鮮やかな黄色の車。イラストレーターの齋藤さち子さんが迎えに来てくれた。7月末に一度青森市でお会いしたが三沢で会うのは昨年の12月以来。うれしい。

 電車に乗ってたら昼飯を食い損ねたので、駅の西側に続く坂を上って左に折れ、細い砂利道を進んだとこにあるカフェ「cogemame」に連れて行ってもらう。深い青色の外観。店の戸を開けると新築の建物の匂い。靴を脱ぎスリッパに履き替える。アイスコーヒー、サイフォンで入れたコーヒー、ふじリンゴのパイ、サバチーズホットサンドを持ち帰りで注文。さち子さんがごちそうしてくれた。「もか」という名前の豆と、さち子さんがイラストを描かれたキャニスター買う。やたら木邨アナのサイン欲しがる奥さん。車でサバチーズホットサンド食べる。おいしい。でかい。今たべものを分け合うのはどうなんだろうか…とか思いつつひとりで食べてしまった。いい匂いのアイスコーヒー。カップじゃなくてなんかおしゃれなボトルで渡されたので戸惑う。

 八工大二高の美術科の生徒さんと記念館のスタッフさんらで完成させたばかりの「テラヤマロード」の壁画を見に、マックスバリュのそばにある大町薬店の駐車場へ。昨日の雨で塗料が垂れていないか心配だったが無事でよかった。線路の上を歩く寺山修司、しんちゃん、ケイコちゃん、さじき犬とその後ろに大勢の観客(東奥日報の記事によると86人)。壁画からわずか数センチの距離に停めてある車があったのでしんちゃんとケイコちゃんの正面には近づけず。青い背景に『星月夜』を思わせるような電球の明かり。制作の話を聞く。

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 しばらく運転してもらい三沢の景色見ながらドライブ。無人アメリカ人専用ビーチ。小田内沼にコブハクチョウの親子。松の木が立ち並ぶ暗い森を抜けて寺山修司記念館へ。入口の体温計で体温を測ると36.2度。Dさん、Tさん。前回お世話になった学芸員のHさんはお休み。紅茶いれてもらってうれしい。館長室に入りやまびこさんに挨拶する。昨年12月以来。お元気そうでよかった。会えてうれしい。

 先に開催中の企画展『ジャパン・アヴァンギャルド~アングラ演劇傑作ポスター展~』をさち子さんに解説してもらいながら見る。自分は何の知識もないのでいちいち聞き返す。答えてくれてありがたい。自分が高校1年生の頃に県立美術館で行われた『横尾忠則の昭和NIPPON』で天井桟敷のポスターを初めて見た。それらを気に入って部屋の壁一面にポストカードを貼っていた。

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(写真これしかなかった)

 シルクスクリーン印刷。多色刷りによる色のずれ。暗黒舞踏大駱駝艦。映画『HOKUSAI』に影響を受けて細い線の描き方を変えた話。『毛皮のマリー』のポスターに書かれた「性の描写が多すぎる」という文字。自分は胸とか股とかに感じるものがないわけでもないけど、あ、股だな、くらいのものだと思う。

 見終えて館長室に戻る。自分が寝てるベッドくらいある長方形の大きな机の短辺にやまびこさんとさち子さんが向かい合って座り、自分は長辺の中間あたりに座る。やまびこさんがダイソーで買ったという赤い老眼鏡を外す。

 即コーポ白樺の悪口を言う。コーポやまびこにすればよかった。やっぱり青森でゴキブリを見たことがある人はごく稀なのだと知りもはや誇らしい。優良な不動産屋を教えてもらう。青森市を離れたくない気持ち。これを他の人から郷土愛とか言われると白けるけども。やまびこさんの若い頃、地元を出ない選択をした人は臆病者の扱いを受けたそう。それでも、同じ高校出身の寺山修司を追いかけて上京し天井桟敷に入団する熱量はすさまじい。時代の風潮だけによらない何かを感じる。今は地元で親しくしてる人はいないそう。散歩で会う人たちの話を聞けてうれしい。

 青森県の文化・芸術に対する関心について聞く。タウン誌『北の街』。ねぶた以外が栄えない理由など。青森市商業都市として栄えた町だからそもそも文化を守るだとか発展させるだとかの考えが根付いていないのだ、と。それは県内の市町村のポスターが並べられてあるのを見たときに自分も感じた。青森港に停泊してる大型クルーズ船と青森市街の夜景の写真とか一番しょうもない。土の写真とかのがいい。

 寺山修司への入口の多さ。自分の場合はポスター美術から詩、短歌、エッセイ、映画を見たのはやっと最近のこと。うわべだけ追ってる身だが。10代や20代の若者は演劇から入る人が多いような印象、とのこと。どの媒体でも「わかりやすい」作品はないにせよ。本を読む人は少なくなったといっても、らせん堂の三浦さんの買取話を聞くと青森県民は本を読む人がまだまだ多いのではないかと思わされる、という話。みんな、らせん堂と三浦さんが好き。やまびこさんの学生時代は戦後文学の隆盛期にあたり、1つの学年に同人誌が4冊も5冊もあったそう。それはうらやましい。自分はツイッターしかしてこなかったから。

 この頃さち子さんが夢中になっているという50年代の映画の話。川島雄三という映画監督はむつの出身なのか。自分の頭の中はアラタマミチヨ…ミチョ…みちょぱ……でいっぱいだった。(帰ってから検索してみたら三橋達也、思っていた倍顔が濃かった)

 時計を見ると16時40分。閉館して館内の消毒をする時間らしい。あっという間だった。自分とさち子さんは事務室へ。菱刺しのNさん。三沢のスーパーと病院事情を聞く。青森市で流行ってるらしい「やきいもお福」の店主(なのか定かでないが、眉を太く塗っている女性)の写真がデスクトップに貼られているのが気になって仕方がない。お土産のパンわたす。

 17時過ぎに記念館を出る。やまびこさんに「元気出してね」「生きてるだけで、ワーイなんだからね」と言ってもらって、とてもうれしかった。次はもっとゆっくりお話できたらと思う。

 さち子さんの黄色い車で駅まで送ってもらう。小さめのゴールデンレトリバーに散歩させられてる中学生が坂の下から駆けてくる。高校生の帰宅時間で駅前に車が溢れかえる。駐車場に車を止め、とうてつ駅そばの前まで送ってくださった。

 せっかく三沢に来たのでとうてつ駅そば。やはりうまい。青森駅では食えない味。女子高生たちに挟まれて駅そばを食うのはつらいものがあったが。精神を鍛えねば。

 18時17分の電車で出る。たのしかった。『11ぴきのねこ』のラッピング電車でうれしい。青い森鉄道沿線にある三戸町馬場のぼるの故郷。

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 岩波ジュニア新書を読んでいたら向かいの座席にパン屋にたまにくるお客さんがいた。そっと飯島耕一詩集に替える自分の浅ましさ。暗い浅虫温泉駅青森駅に近づき速度を落とす電車から、大きく開かれたアパートの晩夏の窓を見る。低いテーブルの上に置かれたコップの結露。

 19時41分青森駅着。駐車場に猫。弟からLINEあり、浪館通りのハッピードラッグに寄る。頼まれたあおさ買って出ると弱い雨。雨の匂いは嫌い。たばこの自販機。成人式のあった日、同窓会には出ず友達とふたりで「あんこサワー」というまずい酒を飲みに行った帰り、朝までは飲んでいられなかったので深夜2時とか3時だったと思うが、これはその時ほの暗く光っていたたばこの自販機だ、ということをなんとなく思い出した。エコーの上を這う蜘蛛。

 20時30分頃帰宅。弟が居間でたこ焼きを焼いていた。あおさ渡す。生地が余ってたので自分も焼かせてもらう。うまくできたが腹いっぱい。

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 部屋に入って25時過ぎまで日記書くも終わらず。メニイシェイプス。パソコン閉じて途中で寝る。