日曜日。
家族揃って朝食を食べたことがない。そもそも中学生の頃まで朝食を食べたことがなかったから、授業中は腹が鳴って仕方がなかった。ある日私の腹の音を聞いた教師が「誰だ、飴かじってる奴は」と怒った。私は赤面したけれど飴はかじっていないので名乗りようがなく、どうせ怒られるのなら飴をかじって怒られたいと思ったのだった。以来、私も朝食を食べるようになった……
と、朝食について書くにあたってまずはこんな小話から披露しなければならないほど、朝食のある生活というのは自分にとって未だに新鮮で異常なのだ。
今朝はパンとコーヒー、水菜とツナのサラダ、目玉焼きを用意した。それにしても朝食の段取りというのは非常に難しい。目玉焼きを焼いているおよそ6分間、これが肝心ですな、と気がついた。
しかしやることが多すぎる。湯を沸かす、パンを焼く、水菜を切ってツナ缶とドレッシングと和える、豆を挽く、食器を温める等々、これらの段取りを誤ると朝食は崩壊する。解法はひとつだけである。哲学や数学より厳しいのが朝食である。ここに真実の「朝食の段取り」を記しておきたい。
・水菜を食べやすい大きさに切る
・ツナ缶の油を捨てる
・調味料を合わせてドレッシングを作る
・フライパンに油を引いて熱する
・卵を割り入れる
〜以下、能動的六分間〜
・電気ケトルで湯を沸かす
・食パンをトースターに入れる
・豆を挽く
・皿、マグカップ等々を湯で温め、乾いたふきんで拭く
・コーヒーを淹れている途中でパンが焼き上がり、目玉焼きも焼き上がり、全てが押し寄せてくる
・とりあえずひとつずつ片付ける
・水菜とツナのサラダのことを思い出し、和える
・全てが冷めている