生きてるだけで、ワーイ

鳴門煉煉(naruto_nerineri)の日記

へんなの、

 

 9月29日木曜日。

 昼、駅前広場のベンチで靴を脱ぎ、左膝を胡座の形に曲げて本を読んでいた、背後から鳩の鳴き声がし、ずいぶんでかい声で鳴く鳩だ、と思い振り返ると、黄色いタオルを頭に巻いた少年が木の幹にしがみつき、発声しているのだった、少年は枯れ始めの乾いた芝生に伏せて鳩に近づき、手を叩いて鳩をいっせいに飛び立たせた。飛んできた鳩を私は身をかがめて避けた、鳩も私を避けた。

 15時、公用車で金子さんと出る。7階の駐車場から。本庁舎の2階にある印刷室で3,000部、町会に配るチラシをカラー印刷するのでその番を任された。本当に大した仕事ではなく、なくなった用紙を補充する以外にはすることがない。機械の液晶画面に表示される「のりをかくはんしますか? OK?」という文言が胸に面白く響いていたのもはじめの30分くらいのもので、金子さんが迎えにくる17時までに刷り終わるだろうか、と焦る気持ちも金子さんが迎えにくる30分前には消え、途中まで読んでいた本の続きを読み終えられたかもしれない時間がたった今過ぎ去っている、ということを感じていた。やたら白い印刷室の四隅に影が集まっているのが気になった、いや別に。

 17時、3,000部のコピーを抱えて公用車に乗り込み、金子さんと駅前庁舎へ帰った。立体駐車場を7階まで上りながら将来の夢を聞かれた。あるけど、答えたくないのは金子さんに対して何かよくない気持ちを抱いているわけでは一切なく、答えることが恥ずかしいのでもないと自分では思っているんだけどどうなんだろう。金子さんの将来の夢も聞いた。雲が薄紅の色をしていた。こんど私が不機嫌な顔をしていたら誰か「ポ!」と合図してほしい。先週塗った爪をまだそのままにしている。へんなの、と思う。