生きてるだけで、ワーイ

鳴門煉煉(naruto_nerineri)の日記

現代詩の胸ぐらを掴む

 

 日曜日。

 25歳の誕生日。4月3日というのは晴れるものだと相場が決まっている。やはり今年もそう。

 11時に浪館通りのローソンでHさんと待ち合わせ。誕生日なんでしゃれた靴でも履くかね、と思いしゃれた靴を履いて外に出る。あたたかい。二、三歩歩き、こりゃ粧し込んでる場合じゃねえ、と判断。やたら軽いスニーカーに履き替えふたたび出、遅刻する。

 Hさんから誕生日祝いに机をもらう。置きにいったん家へ。父に見せたら「いい机だ」と感嘆していた。

 環状線を東へ。メダカ共和国を過ぎ県総合運動公園へ。散歩している犬をずっと目で追うHさん。遊具広場は子供でにぎわっていた。遊びたかったが我々は大人なので誰も遊んでない網の上を行く。タネルにパッチ。敷地内をずっと流れている川に沿って歩く。激しい流れに耐える細くて乾いた草。浮き上がる枯れ葉。Hさんが岩の上を飛び越えて向こう岸へ渡る。戻ってこようとふたたび岩に着地したとき、岩が揺れて驚いていた。いい橋の下。多目的広場の真ん中に立つ。空が青い。ここに寝そべって星でも眺めたあと目を閉じたらそのまま静かに死ぬと思う。川が増水するとこの広場に水が流れるらしい。その水路にカエルの卵。トンネルの奥に声が反響する。少し遅れて返ってくる自分の声を自分はあまり聞きたくなかった。柵の上を歩くHさんの写真を撮った。さらに歩き、水路の上にかかる橋とも何ともいえない場所に腰を下ろし太陽を向いて座る。ただただ気持ちがよかった。魚は1匹も見当たらなかったが釣り糸を垂らしたくなる。しばらくぼーっとしてから立ち上がり、少し高いところへ登ると湖のような場所があった。水はとても汚れている。向こうにはまだ氷が張っていて、その辺りには何らかの鳥の群れ。Hさんが声を出すとやはり鳥が鳴くので自分はうれしかった。立て看板。大事な箇所が掠れており、穴埋め問題のようになっていた。空欄のひとつには魚食性、と書いてあったらしい。歩いて戻る。虫かごを提げてるおじいちゃんと子供。大きな橋の下を歩く。叔父は昔橋梁の設計をしていた。浅い川底に敷き詰められた石を拾いたいから、次はサンダルを持ってこなければならない。アリーナの正面、トイレのすぐそばにある公衆電話からHさんに電話をかけようとしたが繋がらず。10円玉が何度も返ってきた。

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 かなりお腹すく。14時近くまで歩いていた。もうやってる店もなく丸亀製麺へ。かけうどん、れんこんといかの天ぷら。後ろの席に座っていた母親が子供を叱りつける声が気になって食事に集中できなかった。

 仕事のために休むとか奴隷すぎるので自分は限界まで活動していたい、と熱弁をふるいながら15時頃昭和通りの交差点まで送ってもらい別れる。楽しかった。

 古書らせん堂へ。三浦さんに「私今日誕生日です」と自ら申告する。おめでとうございます、と深々とお辞儀。「現代詩の胸ぐらを掴む詩人が現れ出た」という、三上寛の『お父さんが見た海』に富岡多恵子が寄せた言葉に二人してかっこいい〜と言いながら震える。棚を見ながらもう25だしな、と決心し『現代野郎入門/野坂昭如』買う。カカオ70%のチョコをいただいた。会えてうれしかった。店を出、なんとなく外観の写真を撮っているとちょうど三浦さんが出てきた。

 古川の歩道橋を渡る。久須志神社へ。さっきの10円玉を賽銭箱に投げ入れる。

 帰宅。父から誕生日祝いに黄金(こがね)さきいかもらった。父が行ってみたいというのでシャトレーゼへ。ショートケーキ買ってもらう。夕飯はレトルトのゴーゴーカレーだった。

 25歳になったことを父に告げると「いっとまかにおがったなあ」と言うので「いぐおがったべ?」と聞く。父は「んだな」と言った。