生きてるだけで、ワーイ

鳴門煉煉(naruto_nerineri)の日記

おだやかな視点

 

 晴れ。起きられる自信なかったが6時頃起床。パン屋休み。朝の挨拶より先に、昨日ミッフィー展の入場者が2万人を達成したことを母に告げられて激しく落ち込む。今回も惜しかったねー、と。

 「鏡面に立体的な窓枠と窓から顔を覗かせるペコちゃんの大きな絵がついているため鏡としてまったく機能しない変な鏡」を燃えないごみに出す。20年以上前に父が職場の人からもらったものらしい。こないだ部屋の片付けをしていたらクローゼットの一番上から出てきた。父に隠れて捨てる。

 洗濯して支度してから歩いて出る。やたら香る、葬儀屋の花壇に植えられた配色の悪いパンジー。これを俳句や短歌の形にしてみようと試みながら歩くも、やはり感じたまま表すことができない。8時50分に国道のデイリーヤマザキの前で平出さんと落ち合う約束してたのだが、向かう途中2箇所ある踏切どちらにも引っかかり遅れる。

 ミッフィーちゃんのぬいぐるみを手に、歩きスマホならぬ歩きミッフィーをする笑いを披露しながら5分ほど遅れて合流。平出さんから歩きミッフィーもよくない、と言われる。バス停そばの100円の自動販売機。自分が今からどれ買うと思いますか、と聞くとメロンクリームソーダを指さす平出さん。即座にブー、と言ってなんか見たことないオレンジ色の迷彩柄のジュースのボタン押す。9時4分、古川4番乗り場から三内丸山遺跡行きのバスに乗る。今自分らは2万の滓、と思いながら。三内のブックオフの前を通り過ぎる。平出さんから「ブックオフで本やCDを売って1万円を手にした日に父に撮ってもらった写真」を褒めていただく。

 20分ほど揺られる。県立美術館前で下車。雪舟えまの『たんぽるぽる』を彷彿とさせる、たんぽぽたちの群像。日当たりがよいからかやたら背が高い。「とても私。きました、ここへ。とてもここへ。白い帽子を胸にふせ立つ」という歌を思わせる、と平出さんが言う。これには自分も同じことを思う。白い帽子ごと心象風景として。9時半の開場を前に行列ができていく様子を遠目に見ながら待つ。

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 精度高そうな検温の機械にヒヤヒヤしながら入場。名前と連絡先を紙に書く。ミッフィー展。窓枠をモチーフにした作品があり、今朝捨てたペコちゃんの鏡を思い出して苦しい。これまで関心がなかった「ふがこちゃん」というぶたの女の子に強く惹かれる。ふがこちゃんが描かれたポストカード2枚、パン屋のボリスのマスコット、弟にお土産としてタオル買う。五味太郎が「文学的傑作」と評した『うさこちゃんとうみ』の絵本も買う。

 平出さんに奈良美智の『あおもり犬』見せるため、無駄に長いような気がするがまあ無駄ではないのだろう連絡通路を歩く。高い壁に挟まれた狭い通路が開けたところにいるあおもり犬。大きい、以外の感想を持つのが憚られるような作品ではある。キョゾウを倒すプレステ2のゲームの話。自分はずっと「虚像」だと思っていたが「巨像」だった。あおもり犬を攻略する方法について思案する平出さん。高いところから刺す。お互いに記念写真撮って出る。

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 バスの時間まで三内丸山遺跡を見ることにしたが案外時間なく諦める。世界遺産に登録されてから見るのでも遅くはない。なんせ相手は縄文だから。資料などが展示されているまあまあ近代的な建物の曲線に沿って歩く。

 県立美術館前のバス停に戻る。乗ろうとしていた市営バスとは違う「ねぶたん号」という一律300円で市内を巡るルートバスが来たので「ラッキー、乗りましょう」と飛び乗る。鳴門煉煉の無計画さに動揺する平出さん。車内で平出さんから貴重な同人誌を見せてもらい読む。酔った。たぶん映画『海辺の彼女たち』の冒頭に出てきたフェリー埠頭の前を通る。北海道すらかすんで見える湾を見て世界の広さを感じた自分のことを自分は笑ってもよいものだろうか。

 青森駅で下車。お腹空いたので昼飯にする。旅慣れてる平出さんの経験則に従って駅前にあるいまいちぱっとしない見た目の定食屋に入る。おまかせ海鮮丼1,350円。厚切りのまぐろ、サーモン、ホタテ、ブリかハマチかなんか、イカ、タコ、ウニ、玉子。丼の他にしじみの味噌汁、もずく酢、ホタテの貝ひもと豆苗をごま油で和えたみたいなやつ、たくあんもついてきた。全部うまい。テーブル中央に置かれたアクリル板があまりにも頑丈で遮音性が高く、それを上回る声量で話すのもどうかと思い黙ってひたすら食べる。

 満足して出る。平出さんが昔愛媛へ旅行に行った時の話など。新町通りにある成田本店へ。文芸誌の棚見るも、平出さんが時評の連載を担当している『短歌研究』はまだ入荷しておらず。店奥にある詩歌の棚を見せる。地方はどこもこんな感じだよなあ、と。

 青森の本丸である古書らせん堂へ。パリッとした白いシャツを着た三浦さんに平出さんを紹介する。平出さんの作品が掲載されてる短歌研究の号をメモする三浦さん。お父さん、草野球やってんの?てっきり平出隆の息子かと。名刺。ミッフィー展へ行ってきたが惜しいところで2万人目を逃した話。記念品って言ったって図録1冊くらいのものだよ、と三浦さんが言うのですかさず「けち」と言う。三浦さんが「どっちがだよ」と。その通り。三浦さん、腰痛改善のためにスクワットをしているそうなのでEXILEのJUNPEIになる日も近いだろう。『変哲もない一日 / 阿部昭河出書房新社、『絵本をよみつづけてみる / 五味太郎・小野明』平凡社ライブラリー買う。平出さんは4冊くらい買っていたか。話せてとても楽しかった。

 スクランブル交差点をかっこいいと思っているかっこ悪さ。安方にある喫茶店マロンへ。ブレンドおいしい。「熱いコーヒーを飲んだときに鼻から息が抜けるじゃないですか、他人のそれがすごく好きなんですよね」と平出さん。職場にいるコーヒー鼻息おじさんの話。平出さんが買ったランボオ特集のユリイカ見せてもらう。店内を歩き回る気のいい店員さんがやたら注ぎ足してくるお冷。明らかに飲みきれないので断ったがやはり注ぎ足される。良心が結露する。

 15時頃出る。平出さんがホテルへ荷物取りに行ってる間、自分は下のデイリーヤマザキの清潔感のないトイレへ。「使用前に従業員へお声がけください」と張り紙がしてあり、カップ麺の品出しをしていた人に声をかけると、自分が高校の頃からここでバイトしてる夜勤のWさんだった。特に話すこともないが。外に出ると雨。ようやく出番を得た平出さんの傘に入れてもらったが200メートルくらい歩いてすぐやんだ。

 秋田行の特急つがるの自由席に乗る。自分もちょっとした旅行気分を味わえて気分がいい。秋元康みたいになるんですか。新青森駅で降り、新幹線の乗り換え口の改札前で握手して別れる。平出さんの更なる活躍を楽しみにしてます、と言えたかどうか定かでないが、お会いできてよかった。

 奥羽本線青森駅へ戻る。映画『いとみち』見るつもりでいたが雨が降りそうなのでよす。『絵本をよみつづけてみる』をよみつづけてみながら歩いて帰宅。

 しばらくして弟が帰ってくる。お土産のミッフィーちゃんのタオルわたす。「これはいい」と喜んでいた。18時過ぎ、弟に誘われてハッピードラッグへ。弟がテスターだと思って蓋をこじ開けようとした整髪料が売り物だった。すぐそばのダイソー。弟がいちいち商品でモノボケをしてくるのでいちいち突っ込みながら一周する。

 22時から宮本さんと電話。ミヤモトワとソ煉ティ、と思いながら終始口には出さなかった。