生きてるだけで、ワーイ

鳴門煉煉(naruto_nerineri)の日記

暗き生き血を流しけり

 

 パン屋休み。晴れ。給料日。ワーイ。

 ほかに履くものがないので股に穴の空いたズボン履き、母とふたりで出る。昔の浜崎あゆみといえば損傷の激しいジーンズを着用しており破けたところから彼女の尻が見えていたものだが自分は浜崎あゆみではないので絶対に隠したい。気にしながら歩いていると母が長靴から脚をゆっくりと抜き、ズボンの膝に大きく空いた穴を見せながら「あゆ」と言ってきた。

 みちのく銀行でお金下ろし郵便局でゆうちょの通帳に入れる。母にいくらか渡してとりあえず財布に3千円残す。母とスーパーふじわらで買い物、野菜が高くなった。水曜なので千円以上の買い物で卵は1パック58円。

 一度帰宅してふたたび出る。新町のガスト、いつも通りかかってはいるが久しぶりに入った。高校のときにバイトしていたデイリーヤマザキで朝勤だった女性が働いておりべつになんでもないのだが気まずい。名前を最後まで思い出せずもやもやしたまま出る。

 寒さに悪態つきながらスクランブル交差点渡る。上着のポケットに手をつっこみ、肩をすくめた格好で歩く。自分より背筋伸ばして歩くおばあさん。さくら野百貨店のショーウィンドウにはピンク色のバッグと緑色のバッグが飾られている。春が来たんだ、と思う。

 それでも寒さに悪態つきながら県庁のあたり歩く。高級バッグの色味など知ったことではない。赤十字の建物4階の献血ルームへ入ると血の洪水というくらい混んでる。遠心分離を使って成分のみを取り出し血をふたたび体内に戻す、という成分献血を求められたが寒さのためか血管が貧弱になってるとのことで負担の少ない全血献血。それほど求められてもいないBの型の血液。期待に添えなくて申し訳ない気持ち。自信喪失。無料の菓子やジュースにも手が伸びない。歯科医院のそれ、のような椅子に座り備え付けられたテレビでNHK俳句見ながら血を抜かれる。小野あらたがゲスト。

 水筒の暗き麦茶を流しけり

 いい。隣の人は『相棒』の再放送を見ていた。右京さん。手を強く握っては緩めてを繰り返すたび、血が人工的な流れに乗っていく感覚がおもしろい。終え、恍惚としていると看護師に「前回もバレンタインの時期に来てますね」と言われる。チョコでなく血をささげる己のかっこよさ。帰りにチョコもらった。

 夜店通り。フォーションの店主は腕を組んで眠っていた。シネマディクトへ。ちょうどよくやってた、16時の回だけどもレイトショー扱いで1200円。キム・ヤンヒ監督『詩人の恋』、見てよかった。自分はドーナツの穴が好きではない。

 勤め終わりでやたら歩くのが速い人らと一緒になって帰宅。太宰の旧制中学時代の成績表が公開された、というニュースに「文武両道の実像」というテロップ。なぜか見ているこちらが恥ずかしくなる。