生きてるだけで、ワーイ

鳴門煉煉(naruto_nerineri)の日記

吐く息の白さで、その人が笑っているのだとわかる

 

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 雪が、降りました。季節って順繰りしっかりめぐるのだなと、もういい大人なんだけど、あらためて思います。暖かくできるので、冬はいいですね。

 雪が降る前の晩じゅう、強い風が吹いていました。それで、いちょう並木の葉は、すっかり落ちてしまいました。金色に光り、たくましく見えていた木は、その細い枝をむき出しにしてしまったんです。それって一体、どんな気持ちなんでしょうか…。自分には到底耐えられそうもないけれど、もしも木に思考ができるなら、それはそれは強靭な精神をもつだろうと自分は思います。けれどこれも、ないものねだりの一種なのでしょうね。思考する生き物はきっとみな弱いのです。だからこそ強さを志すことができるのだし、自分は弱くてよかったと思います。語弊があるといけないですね。自分は木をばかにしているんじゃないですよ。いつも尊敬をもって見上げているのですから。こんな自分の傲慢さも、木はすべて見透かしているのでしょう。非常にありがたいことです。

 それで、いちょうの葉なのですけれど、すべて地に落ちてしまったわけではなくて、いくつかは、その焼け残った骨のような枝をつかんでいたんです。雨とも雪ともいえないような、濡れている球体のようなものがとめどなく空から落ちてきて、自分はそれがいやでした。けれども水の粒で飾られた木に西日が当たって、それだけはきれいだった。花はたやすく死ぬけれど、一本の木の死ぬのを見届けられるほど、我々は長くは走れないでしょう。自分はいまも胸が落ち着きません。ですが、花も木も人間も、等しい時間の流れを生きています。何もかもを信じないことです。ただ。ただひとりを決めて、自分の心臓を握りしめてほしい、それだけを切に望みます。