生きてるだけで、ワーイ

鳴門煉煉(naruto_nerineri)の日記

騒がしき万緑の引力

2022年8月の雑記『騒がしき万緑の引力』を掲載する。過去に書いた文章を編んだ本を制作していたのだけれど、そんなことをしている暇があったら新しいものを書けよ、と自分自身に対して思ったので。 騒がしき万緑の引力 古川から国道へ出る。県庁前を歩いてい…

筋肉は20世紀に置いてきた

11月16日水曜日。 筋肉は20世紀に置いてきた。昼、商工会議所下のセブンイレブンで、たんぱく質を摂れるサンドイッチ、プロテインバー、コーヒーを買う。味わいを選択することのできないほうのマシンで。 「いい匂いがする、香水でなくてシャンプーとかの」…

抵抗するしかない

11月15日火曜日。 朝方は晴れ、午後から雨。傘を持って自転車で出、18時過ぎ歩いて帰る。白んで明るい空は冬のそれだけどまだまだ雪は降らない。白鳥の声が聞こえたら、その姿を探すようにしている。黒い影の隊列がちょうど私の頭上で崩れた。言葉が人間を作…

頭痛

11月14日月曜日。 「寸分の狂いもなく、精巧に作られたものが駆動して、それに殺される。」 と下書きにあるが今日(15日の夕)となっては何のことだかさっぱり思い出すことができない。こうしてどれだけの日々の断片を失っていることか。多分、新町通りを走…

遠くへ行くことを

11月13日日曜日。 言いたいことは、言わないという方法で言わなくてはならない時がある。しかし言うべきことは確かにある。あえて思い出さないようにしている出来事がある。それは思い出されることに似て、切実な思いだと思う。全員が今を生きていることが不…

早すぎる夕の光

11月12日土曜日。 8時頃起床。掃除、洗濯。食パンにトマトとチーズを乗せてトーストしたもの。ブロッコリー、ベーコン、卵も焼いた。 東青森のDCMで見つけた植物が早すぎる夕の光を刻んでは散らしていた。暮らし。

ボヘミ庵

11月11日金曜日。 今朝の東奥日報の文化面。新刊案内にくどうれいんの『虎のたましい人魚の涙』があった。 勤め。窓口にやってきた客が市民図書館のバーコードのついた大佛次郎の『帰郷』を手にしていた。 18時頃終える。自転車で国道を東へ。空の低いところ…

新しい人間に変身する過程

11月10日木曜日。 昼、新町のローソンでつやつやの肉まんを買う。パサージュ広場の木を囲むベンチに座り新町通りを眺めつつ食べた。市民図書館の7階へ。新着本のコーナーで『甘美な牢獄 / 宇能鴻一郎』を手に取る。官能、と自ら謳ってるようなものからはエロ…

人間の土地

11月9日水曜日。 昼、市民図書館で本を借りようとエレベーターに乗り、7階のボタンを押すも動かず。しばらく押し続けた。今日は月に一度の休館日なので5階より上へは行けないのだった。駅前広場へ。なんとなく公衆トイレの脇にある石に腰を下ろしてセブンイ…

燃えろ

11月8日火曜日。 土曜日からずっと、「燃えろ、金小っ子」であるべきか「燃えなくてもいいよね、金小っ子」であるべきかを考えているのだけど(注、金小は金沢小学校の略)、世に蔓延る画一的なメッセージに抵抗するためにはやはり「燃えろ、金小っ子」とい…

誕生日

11月7日月曜日。 18時頃勤めを終えてもぐらやへ。熊谷さん。今日はわが心の師であるJ・ミウラ・ペーさんの誕生日。三浦さんの代わりに盛岡の銘酒「赤武」を飲んだ。とてもおいしい。熊谷さんに料理の相談。赤武1合、ちくわ天(ポテサラカレー味入り)、かぶ…

フィヨルドの恋人

11月6日日曜日。 スーパーカーの『Sunday People』を聞きながら洗濯物を干す。同じく十和田市出身の高橋弘希の小説に『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』があるが、このことを話したとき「べつに関係ないでしょ」と一蹴されたときの雲ひとつない空。 今…

考えられた意味の空洞、感じることのできなかった意味の構造

11月5日土曜日。 ひたすら写実的であるべきなんだと思う。すぐスマイルするべきだ。そう思う。冬、私が履く長靴には馬の顔が3つ並んでいる。ワークマンプラス青森三内店で買った。粘土を盛るように生きるのではなくて、塊を削るように生きていたいと、これか…

真を偽から区別する

11月4日金曜日。 かのデカルトは『方法序説』に書いている。「私は私の行為において明晰に見、この人生において確実に歩むために、真を偽から区別する」 先月受けた健康診断の結果が届いた。私はこの日に向けて節制を心がけぬよう努めた。私は私の行為におい…

旅行者と生活者

11月3日木曜日。文化の日。 久しぶりの休日に豪華な朝食。卵とパンとコーヒー。冷たい野菜があるとなお良い。叔母は卵を3個茹で、失敗した2個を啜るように食べていた。 テレビを消し、洗濯機の音で過ごす。昨日の日記を読み返しながら(私は本当に、自分の書…

負けるのはつまらない。だから僕は負けない

11月2日火曜日。 今朝シャワーを浴びるとき鏡で自分の裸を見ながら鉛筆の動かし方について考えていた。ドガのパステル画。そこには若草色、のような緑色がなかったか? 記憶が定かでない。 祖母から電話があった。正確には叔父の指示で。「電話が壊れている…

変身。それはとても

11月1日火曜日。 朝、何気なくテレビを見ていたらエルムのCMが流れて、駒井煉、ではなく蓮が手にしていた本が『美しい街 / 尾形亀之助』(夏葉社)であることに気がついた。 ある会話の中でふいに口をついて出た言葉が「死ぬ日は選べない」だった。変身。そ…

薬をくれとは思わない

10月31日月曜日。 書き続けていた日記を書きやめて久しいがそのことについて特別の苦痛を感じないことに嫌気が差してきたので今日からまた書き始めることにした。自分のことを野暮だと思う。 昼、駅前広場のベンチ。昨日行われた市議会議員選挙を受け、計6議…

うれしいからでしょ

10月22日土曜日。 9時過ぎ歩いて出る。ラビナの前で盛さんと落ち合い、ワ・ラッセ西の広場と青森駅前ビーチへ。AOMORI COFFEE FESTIVAL 2022。本部のテントでは、ゴミを減らすためにカップが貸し出されていたり、グラフ青森の『青森の暮らし』の最新号、コー…

簡単な暗い逃げ道

10月21日金曜日。 駅前の広場でUさんとばったり会う。「ヘッセの『車輪の下』は高校生の頃に読んだよ」 古書らせん堂へ。外の棚を見ていると店のそばにある倉庫から三浦さんが出てきた。水漏れの小噺。この頃は佐藤洋二郎の小説に夢中になっている、と。ツイ…

けわしき道を経て星に達す、なのだから

10月20日木曜日。新聞広告の日。 勢衝青天攘臂躋 気穿白雲唾手征 というのは渋沢栄一による漢詩だが、「私は青天を衝く勢いで 白雲を突き抜けるほどの勢いで進む」、大河ドラマ『青天を衝け』で放送されたこの一節は誤訳らしい。 正しくは「青天をつく勢いの…

最後に眠ったのはいつ

10月19日水曜日。 曇り。リンゴ・スターへのあこがれ。8時頃自転車で出る。途中で激しく雨が降る。着ていたフリースが濡れて重い。20歳の頃にリサイクルショップで買ったやつ。かっこ悪くて仕方がないが似合っているので未だに着ているしこれからも着ると思…

話はそれからだ

卵焼き 不毛すぎてうんこよりも肥やしにならないのであなたのほうが下水道を通ってどこかへ流れ去ってほしいです、と思う質問こと「卵焼きは甘いのとしょっぱいのとどちらが好きですか?」と、書きながら思ったがべつにこんなひどい言われ方をするほど悪い問…

格調と気品

肉蕎麦 私の手元にある三島由紀夫の『文章読本』は単行本化されたものではなく1959年に婦人公論1月号の付録として掲載されたもので、メルカリで400円で出品されているのを見つけたが未だ買い手は見つかっていない、というような具合だった。三島由紀夫の小説…

季節に配慮しなくてもいい

梅のおにぎり、ポカリスエット あの態度が果たして熱心だったのかと精査すればまあ違うだろうけど、練習量だけでいえば相当なものだったと思う。中学の頃所属していたソフトテニス部でそれなりの活躍をして地区大会で優勝した秋の新人戦の後になぜか部長をク…

人間は揉みたがる生物

はじめに 食べることに対してそこまでの思い入れがないというよりは、食べること以外への思いの方が自分の中では優位を占めているから、フォーラム八戸の脇の階段にすっかり座り込んでしまって、上映時間までの間、ローソンで買ったパンを貪るということには…

へんなの、

9月29日木曜日。 昼、駅前広場のベンチで靴を脱ぎ、左膝を胡座の形に曲げて本を読んでいた、背後から鳩の鳴き声がし、ずいぶんでかい声で鳴く鳩だ、と思い振り返ると、黄色いタオルを頭に巻いた少年が木の幹にしがみつき、発声しているのだった、少年は枯れ…

笑いであればなおよし

9月28日水曜日。 私がこの人優しいな、と思っている人は自らの優しさについて「気が弱いだけですよ」と言う。けれど自覚のある優しさなんて、と思うのでやはりそうなのだろう。西に向かって環状線を走った日。だいたいいつもそう。とある小銃の話だが、引き…

I'm not OK,Google

3,850円を払って『切り裂かれた未来』というビデオを見た。 これでは足りませんよ、と思わず財布の口を開けたくなるほどの大いなる絶望を味わった後で交付されたブルーの帯の運転免許証(AT限定)の奥底からこちらを見つめている私は、今後切り裂かれるであ…

書きあぐねている人

9月23日金曜日。 明け方雨の音が聞こえる。眠りながらこれは意識の裏側だと直感した。頭の下に敷いているような。目を開けるとそれはずるっと回って正面へくる。北側の窓を打つ雨音が。 鳴門煉煉は書く人間だと思う。